Storyで紡ぐたび

もののあはれ中南勢ものがたり

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    平安貴族の暮らしをまるごと体験

    いつきのみや歴史体験館は、斎宮が最も華やかだった平安時代の貴族のくらしを体験できるユニークな施設。

    平安貴族の住まいを忠実に再現した寝殿造りの建物からは、スギやヒノキがふんだんに使われているからか、ふんわりと木の香りが漂ってくる。「この建物は、釘や金物などを用いない伝統的な工法で建てられているんですよ」と広報の河野さん。

    それにしても素敵な空間!ごろっと横になってまどろみたい、と思ってしまったのは、やはり不謹慎か。

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    寝殿造りのガイダンス棟では、遊び体験やパネル展示などのほか、平安装束の試着体験(予約制・有料)が行われ、これを目当てに遠方からも多くの人が訪れるとか。

    「ここにある平安装束も、とても凝ったものなんです。絹糸を使い、染めや織りも当時のままに再現されているんですよ」。

    平安時代では現代の品種改良された蚕に比べて糸の太さが4割ほどしかないというが、それでも着れば約10kgほどの重さになるという。

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    寝殿造りは、思った以上に隙間だらけなので、確かにこれを何枚も重ねて着ていないと、火鉢があるとはいえ、冬場は凍えてしまいそうだ。

    小袿(こうちき)は無料で簡単に羽織れるので時間問わずいつでも体験できますよ。

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    現代に通じる平安朝の遊び

    ここではぜひ、平安貴族になりきって遊んでみよう。
    二枚貝を二つに分けて、手に持った貝の片割れを探しあてる平安版・神経衰弱「貝覆い」(※)や貴族たちが夢中になったというサイコロゲーム「盤双六(ばんすごろく)」など、平安の遊びも現代に通じるようなものばかり。

    蹴鞠(けまり)はリフティングと同じだし、毬杖(ぎっちょう)もゲートボールみたいだし、こんな遊びで盛り上がっていたとは、平安貴族たちがなんだか身近な存在に思えてくる。

    (※)ちなみに“貝覆い”と“貝合わせ”は違う遊び。貝合わせは、貝の美しさやそれに添えられた和歌を比べあうもの

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    寝殿造りの隣にあるのは、古代の役所の建物をモデルに建てられた体験学習棟。ここでは本格的な織物体験をすることができる(予約要・有料制)。

    最初はぎこちないが、リズムに合わせてタンタンとできるようになってくると面白い。
    2時間ほどでかわいいランチョンマットが作れるのでぜひお試しあれ。

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    回廊に浅沓(あさぐつ)があったので履いてみた。
    浅沓とは、男性貴族の一般的な履物。内側には絹地の布を張られ、足の甲に当たる部分にはクッションがついている。

    結構歩きにくいな、とつぶやくと、「平安貴族の方は、足をあげず、すべらせるように歩いたんですよ」と河野さん。「かかとからつま先へ、地面に着くようにゆっくり足を運ぶんです」…そろーり、そろーり。雅な生活も楽じゃない。

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    発掘調査から解き明かされる歴史ミステリー

    たくさんの体験をするうちに、斎宮についてもっと知りたくなったので「斎宮歴史博物館」へ。
    斎宮は、昭和45年以来、現在も続く発掘調査でも、まだ全体の2割弱程度しかわかっていない幻の宮。だからこそ、どんな調査をしているのか、調査で何がわかったのかに、とても興味が湧いたのだ。

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    「斎宮の建物の特徴は、礎石を使わない掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)だということです。瓦はほとんど見つかっておらず、斎宮の建物は瓦葺きでなかったと考えられています」と教えてくれたのは学芸員の船越さん。

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    屋根を瓦で葺くのは、仏教とともに伝えられた外来の文化。斎王は伊勢神宮、つまり日本の神様に仕えている立場のため、仏教的なことはタブーだったのだそう。

    面白いのが、仏教的な言葉ですらも、ここでは使われなかったということ。
    例えば「僧侶」は「髪長(かみなが)」、「御経」は「染紙(そめがみ)」などと呼ばれていた。

    「神社」は「瓦葺き」と言われていたそうだから、瓦が使われることなど決してなかったと思われる。斎宮の建物は、檜皮葺(ひわだぶき)や茅葺(かやぶき)が主流だったそうだ。

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    「斎宮のまち」とともに生きる

    館内には2つの常設展示室と映像展示室があり、土器など様々な出土品の展示のほか、斎王の居室も再現されており、イメージがどんどんふくらんでいく。これらの展示を見ると、学芸員さんたちのあふれるような熱意を感じずにはいられない。

    知ってほしい、見てほしいとまるで展示が訴えているかのよう。よしよし、ゆっくり見てやろうぞ。

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    「斎宮歴史博物館も、いつきのみや歴史体験館も、史跡の中に建てられています。博物館の場所からは、奈良時代から室町時代の建物跡などが見つかっていますが、これら地下の遺構を壊さないように、深い基礎を打たないで、厚い盛土の上に建物をのせるように作られているんですよ」。

    発掘調査が終わったら、将来にわたって遺構を保護・保存していくために掘った土を埋め戻して元の状態に戻すという。
    確かにそうなんだろうな、と妙に納得。どの施設を見ても、斎宮のあるこの町を慈しみ、いろんな人に知ってもらいたい、守り続けたいという思いを深く深く感じるからだ。

    ※いつきのみや観月会の様子

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    秋には史跡公園「さいくう平安の杜(もり)」も公開される。
    斎宮に仕えた斎宮寮の中心区画の正殿、東脇殿、西脇殿を「姿だけでなく手触りまで平安時代同様に再現する」というこだわりぶり(楽しみ!)。

    学芸員さんたちが導いてくれる、あふれんばかりの王朝ロマン、ぜひともあなたも肌で感じてみてほしい。

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    王朝ロマン

    ~写真で紡ぐたび~

    • 王朝ロマン

      いつきのみや歴史体験館のキャラクター「めぇめぇ」。
      斎宮発見のきっかけとなった出土品・羊形硯がモチーフになっている。

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      「斎宮跡歴史ロマン広場」は1/10史跡全体模型があり、斎宮の全体像が一目瞭然。

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      「斎宮歴史博物館」は、上から見ると十二単を着る女性の形になっているというウワサが…

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      発掘そのものにも歴史が刻まれている。その長い長い解明の歴史を学芸員気分でたどれるのも斎宮歴史博物館の魅力。

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    王朝ロマン

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    王朝ロマン

    コンシェルジュ
    いつきのみや歴史体験館 広報 河野さん

    明和町では、「斎王まつり」以外にも、斎宮の雰囲気を味わうイベントを行っています。
    中秋の名月ごろに開催される「いつきのみや観月会」は、約3000本のろうそくと雅楽の調べの中、名月を楽しむロマンチックな催し。今年からは、平安時代前期の復元建物がより幻想的な雰囲気を醸し出します。
    また、12月に現在の節分のもととなった「追儺(ついな)のまつり」も四ツ目の仮面をつけた方相氏と陰陽師が目に見えない鬼を追い払うという面白いお祭りで、おすすめですよ。

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    王朝ロマン

    スポット概要

    いつきのみや歴史体験館

    いつきのみや歴史体験館

    住所
    多気郡明和町斎宮3046-25
    営業時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで)
    休館日等
    月曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日、年末年始
    料金
    公式サイトをご確認ください。
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    斎宮歴史博物館

    斎宮歴史博物館

    住所
    多気郡明和町竹川503
    営業時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで)
    休業日等
    月曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日、年末年始
    料金・アクセス・駐車場
    公式サイトをご確認ください。
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