手つかずの自然が残る町、だが…

豊かな自然に恵まれた素晴らしい町、大台。
手つかずの自然…といえば聞こえはいいが、手を加える人がいないというのもまた事実。

観光客にとっては最高の場所でも、住んでいる人にとってはそうばかりとは限らない。町としては、生き残るための打開策が必要だった。

観光事業の切り口としてオープン

そのひとつとして平成９年、第三セクター方式によって「奥伊勢フォレストピア」がオープン。
高原の別荘みたいな雰囲気で、このあたりでは見たことのないほど異国感にあふれた建物だ。
ホテル「宮川山荘」をはじめ、コテージ、BBQハウス、レンタサイクル、体験施設「森の国工房」、美肌効果があるという奥伊勢宮川温泉など、この豊かな自然を楽しむためのツールはひととおり揃っている。

以前は、せっかく観光に来ても泊まる場所もない、という状態だったが、ここができたことから、過疎へ一直線だった村に、観光という道が開けた。

本格フレンチレストランの絶品ジビエ料理

そして、もうひとつ力を入れたことがある。その鍵はここ、ホテルのメインダイニングであり本格フレンチを提供する「レストランアンジュ」にある。

なぜあえてフレンチなのか支配人の野瀬さんに聞いてみると、これは改革を推進してきた町長の意向なのだそう。どこにでもある料理ではダメだ！と考えた結果、三重に多い鹿やイノシシを“ジビエ料理”として提供できるフレンチになったとか。

「鹿肉のカルパッチョ」や「鹿ロースのオーブン焼き」「鹿肉のロティ赤ワインソース」など、美味しいジビエ料理の開発と普及に尽力した結果、ここで獲れる新鮮な鹿肉は「宮川鹿」というブランドになった。

平成24年には、ヤマモリとの共同開発によって鹿肉からとった醤油風の調味料「鹿醤」を開発し商品化（商品名「お肉料理がおいしくなるフルーツソース」）するなど、いまや奥伊勢フォレストピアは三重におけるジビエ料理の旗手となっている。

美味なる魅力を舌は決して忘れない

大台の魅力は、清流宮川と緑豊かな自然とばかり思っていたが、ここにも魅力が隠れていた。舌が大台の思い出を呼び起こす…そんな「わすれ路の奥伊勢」を、ぜひここでしか味わえない最高のジビエ料理で体感してほしい。