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もののあはれ中南勢ものがたり

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    神宮参拝前に温泉で身を清める「湯ごり」

    そもそも、湯ごりとは「湯垢離」と書く。
    当時の人は、伊勢神宮を参拝する時に、今のように手水舎で簡易的に手や口だけをすすぐのではなく、水の中に入ることで禊を行っていた。それが湯なら「湯垢離」、冷水なら「水垢離」、海なら「潮垢離」…というわけ。

    奈良に都があったころから、伊勢の入口にあり、温泉が湧いていたこの地では「湯ごり」が行なわれていた。

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    身を清めるという理由もさることながら、湯ごりはおそらく旅のご褒美という側面もあったに違いない。

    文字が一般的でない時代、「七栗の湯」「榊が原」「宮の湯」など、榊原温泉を指すいくつもの呼び名が存在するということは、多くの人たちがそれだけ口伝えしたという証だからだ。

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    清少納言も認めた美肌を作る日本三大湯

    この榊原温泉はアルカリ性単純温泉で、美肌の湯としても有名だ。温泉成分に含まれる重曹成分が古くなった皮膚の角質を崩れやすくするため、肌がつるつるになるのだとか。

    白く美しい肌が美女の条件であった平安時代には、多くの人がこぞってこの地を目指した。かの清少納言も「湯は七栗の湯(榊原温泉) 有馬の湯 玉造の湯」と「枕草子」に記したほど。

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    多くの平安人を魅了した湯とは、一体どんな湯なのか。
    案内していただいた湯元榊原舘の須見さんに「入ってみたらすぐに分かりますよ」と言われたので、温泉にすっと手を入れてみた。まったく角のないまろやかな湯だ。だが、せっけんのように肌につるりとした膜ができたように感じる。さらに時間が経つと、そのまろみに層ができて身体を包みこんでくる。

    心地よさにまどろんでいると「ここの湯は本当にいいでしょう」と源泉でくつろいでいたお客さんに声をかけられた。なんとこの方、松阪から2週間に1度は来るという。
    ホントいい湯ですねぇと湯談義に花が咲く。うん、これも楽しみのひとつかも。

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    榊原の糸さくらのように力強く美しく

    さて、榊原温泉郷には、平成19年12月に発足した女将の会「糸さくら」がある。糸さくらといえば、神湯館の前にあるしだれ桜が有名。

    湯元榊原舘の女将・前田厚子さんによると、江戸時代に湯治場として栄えていた頃から、射山神社とともに旅人を見守っていたシンボル的な木だったという。

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    松尾芭蕉も句を残したほど立派な古木だったが、明治の終わりに伐採され、その際に取り木をして大きくなった二代目が、ここに根を張っているのだとか。

    「それでも樹齢は推定100年以上と言われています。女将の会を結成する時に、この桜の根元のようにしっかり根を張り、宿を支える女将としてがんばろう、風になびく桜の枝のようにどのお客様の心に寄り添う存在になろうとこの名がつけられました」

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    「糸さくら」は地元のまつりや日本橋にある三重テラスでのイベントに参加するなど、女将たちがPR活動に奔走する。

    「榊原温泉は歴史のある素晴らしい湯ですし、のどかな自然も広がっています。いろんな方にもっと知っていただきたくて、広報の下支えとして、女将全員力を合わせて、盛り上げていこうと思っています」

    女将は確かに、しだれ桜のイメージだ。
    優美でたおやかに、今日もお客様をお迎えする。榊原で最も早く咲く糸さくらが春を真っ先に連れてきてくれるように、旅人である私たちをいつでも笑顔で迎えてくれる。

  • ゆ

    湯ごり

    ~写真で紡ぐたび~

    • 湯ごり

      6月のイベントは「蛍灯(ほたるび)」。七夕の笹飾りや蛍の鑑賞、恋占い花火のプレゼントなど、「七夕」「蛍」を合わせて、恋の湯治場らしいスイートなイベントを開催。

    • 湯ごり

      2月のイベントは「榊原温泉のお雛様」。温泉の神様・射山神社でのお雛様展示や、地元の協力により十二単・宮司の正装束の試着イベントなどを行っている。

    • 湯ごり

      オリジナル商品「糸さくらロール」は、榊原で作られた古代米を使った、もっちりしっとりとした生地が特徴のスイーツ。平成25年、全国菓子博覧会金賞を受賞して話題に!

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      ライターも愛用している湯元榊原館オリジナル「まろみ」シリーズ。源泉水のクレンジング効果と古代米エキスの保湿効果を利用し、身体に優しい成分で、しっとりと洗い上げる。

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  • ゆ

    湯ごり

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    湯ごり

    コンシェルジュ
    榊原温泉 湯元榊原館 前田 論人さん

    榊原温泉は、昔から人々に親しまれてきた名湯です。私が好きなのは、露天風呂で大の字になって天を見上げる時間。晴れた日には青空を、夜には星空を見ながら何も考えずにのんびりと温泉にひたると、とても幸せな気分になれるんですよ。
    また毎年、初夏(6月初旬~)になると、温泉郷を流れる湯の瀬川沿いに蛍が舞い、美しく幻想的な風景を見ることができます。各旅館でもイベントを行っていますので、ぜひ来てくださいね。

    スポット概要

    榊原温泉振興協会

    スポット
    榊原温泉振興協会
    住所
    津市榊原町5824-1
    泉質
    アルカリ性単純泉
    効能
    慢性関節リウマチ、皮膚病、婦人病、糖尿病、神経痛、疲労回復、など
    アクセス
    公式サイトをご確認ください。
    お宿
    湯元 榊原館榊原 白雲荘神湯館旅館 清少納言味楽
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