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もののあはれ中南勢ものがたり

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    高校生のための実践レストラン

    あなたは知っているだろうか?現役の高校生が運営する「高校生レストラン」の存在を。

    平成14年五桂池ふるさと村にオープンして以来、驚きと賞賛の嵐をもたらし、いまだ全国から大勢の人が訪れている多気町の奇跡のレストランだ。

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    田んぼの中にある何の変哲もない県立高校が、まさか「高校生レストラン」の学校だったとは…入ってみてすぐに合点がいった。歩いていると、誰もが挨拶をしてくる。校舎を探すような素振りをすれば、声をかけてきてくれる。なんだこの親切な子らは。一瞬にして、相可高校の生徒たちのファンになったのは言うまでもない。

    「まごの店」の仕掛け人・岸川政之さん(元・多気町職員)も、きっとそんな気持ちだったのだろう。

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    もうひとりの立役者・村林新吾先生が、まごの店が誕生するきっかけをこう振り返る。

    「岸川さんに“相可高校を応援したいが、何ができるだろうか”と聞かれて、だったら店をやりたいと言ったんです。学校の授業では、絶対に教えられないのが接客とコスト管理。しょせん学校でやることは、いくら努力しても仮想でしかないわけです。 だから、実際に店を運営しながら、お金を生む喜びや厳しさ、責任の重さをきっちり教えたいと伝えました。難しいだろうと思っていましたが、岸川さんは喜んで協力すると言ってくれました」。

    そして、平成14年五桂池ふるさと村にまごの店がオープン。テレビドラマ化もされ、全国にその名が知れ渡ることになった。

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    教師が真剣でなければ生徒はついてこない

    調理クラブの部室(調理室)に入ると、白衣姿の生徒たちが黙々と翌日の仕込みをしていた。部長が指示を出すと、班長がキビキビとメンバーに伝達する。
    こちらのテーブルでは天ぷらに使うエビの下処理を上級生が下級生に教え、あちらのテーブルではあなごの煮加減をチェックし合っている。

    小声で、村林先生ってどんな先生?と聞いてみた。すると「指導は相当厳しいですよ」と笑顔で返す生徒たち。

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    村林先生の指導は熱血で有名だが、その理由を本人はこう語る。
    「生徒たちの中には、遠くは桑名や紀伊長島から2時間ぐらいかけて通っている子もいます。そんな子たちに、今日なんにも楽しくなかったなって帰らしたらアカン。教える者が一番真剣にやらないと、子どもらには伝わらないから、どんな時でも真剣に向き合う。それはもう僕にとって絶対のルールです」。

    自分に一番厳しい、それが村林先生だ。生徒たちもその思いをきちんと受け止めているから、どの顔もとても輝いている。先生も生徒もすばらしい!

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    高校生なのに、なんかじゃない

    そして待ちに待ったまごの店のオープン日。いつものように開店前から長い列ができ、開店と同時にテーブルは大勢の客で埋め尽くされた。
    お目当ては一番人気の「花御膳」。煮物は食材別にそれぞれ味付けされ、天ぷらは薄衣でサックリ仕上げ、汁物も昆布と鰹のだしがきいて実に美味しい。

    高校生だから、注目されているから、なんかじゃない。料理の力で、並んでも食べたいと思わされる。

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    「僕たちは朝6時には準備をはじめ、200~250食を用意します。当番になった生徒2人が、気温やイベントの状況などを考えて月曜日に週末の販売数を決めます。調理クラブは4つのグループに分かれていて、週ごとに調理と接客を交替で担当するんです」と3年生の濱口くん。

    1年の時はクラブにも慣れておらず、指示通りに全然動けなかった。2年になると慣れてはきたが、覚えることがいっぱいでとても苦労したそうだ。そんな彼は、卒業後、大学へ進学するという。

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    「高校に入学した時は、自分の店を持つのが目標だったんですが…今は、家庭科の先生になりたいんです」。それは村林先生の影響?「そうですね、先生が教えている姿を見て僕もそうなりたいと思いました。こんな大人になりたいなって」。

    聞きましたか先生ッ!あなたの生徒は本当に立派に育っていますよ!

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    生徒のためにやれることが生きがい

    そういえば村林先生に話を聞いた時に、こんなことを言っていた。
    「町の人に会ったときにね、“先生、相可高校は私らの自慢やわ”と言われるのが一番うれしいんですよ。町の人らが子どもたちを誇りに思って、応援したいと思ってくれている。こんな町で育って、子どもたちも本当に幸せやと思います」。

    レストランでは、お客さんから、美味しかったよ、がんばってね、と口々に声がかかる。作り手と食べ手の心が通いあえる「まごの店」は、本当に奇跡のレストランだ。

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    村林先生に次の夢は何ですか、と聞くと「その答えは“今が夢みたい”ってこと」と先生は笑って言った。
    「生徒のためになることを、いつも一生懸命に、真剣にやりきる。これからもずっとそれは変わりません」

    村林先生の熱い想いとそれに応えようと努力する生徒たち、その姿に勇気をもらって多気町はより元気になった。若い力で、まごの店はいつまでも輝き続けるはずだ。

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    高校生レストラン

    ~写真で紡ぐたび~

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      一番だしの美味しさを堪能できる「まごの店定食」。花御膳に比べ数が少ないのもあるが、こちらは完売必至なので早めにご注文を。

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      「花御膳」は相可高校名物のだし巻、天ぷらはもちろん、数々の前菜も思わずうなる美味しさ。素材を引き立たせる、実に丁寧な仕事っぷりです。

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      この日、学校でもイベントがあったので、まごの店は半分の人数で行った。どんな場面でも、対応できるようにするには普段の働きが重要だ。

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      3年生は12月31日のおせち引退式でクラブ活動終了。それまでは、すべてまごの店に全力投球だ。

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    高校生レストラン

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    高校生レストラン

    コンシェルジュ
    相可高校3年 濱口さん

    まごの店は、毎回売り切れてしまうので何時に行けばいいのとよく聞かれます。店は⒑時半オープンですが、9時半ごろに店の前にウエイティングボードが出されますので、その頃までにいらっしゃれば、どの料理でも確実にお食事できるかと思います。
    料理で最も大切にしているのは、だしです。2階にはだし専用の部屋があって、お客様にお出しする前に必ず先生のチェックがあるんです。だしは煮物の味に影響するので、一番厳しくチェックされます。僕たちが作る最高のだし、心を込めてお出しする料理をぜひみなさんでお楽しみください。

    スポット概要

    まごの店

    スポット
    まごの店
    住所
    多気郡多気町五桂956 五桂池ふるさと村施設内
    営業時間
    公式サイトをご確認ください。
    公共交通機関でのアクセス
    JR紀勢本線「佐奈」駅下車徒歩20分、JR・近鉄「松阪」駅から「三瀬谷」行きバス23分「五桂口」下車徒歩30分
    車でのアクセス
    東名阪[名古屋西JCT→勢和多気IC]約1時間30分
    西名阪[天理IC→勢和多気IC]約2時間
    駐車場
    あり
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