Storyで紡ぐたび

もののあはれ中南勢ものがたり

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    イノシシとあふれる湯の宿

    風力発電の大きな羽根が見える青山高原の東麓に「猪の倉温泉」はある。
    イノシシがいっぱい出るから猪の倉なのかな、と思っていたが、これは半分不正解。もともとは、こんこんと湧き出る井戸があったため「井ノクラ」と呼ばれていた地で、温泉をオープンさせた際に「猪の倉」と漢字をあてたのだそうだ。もちろん、イノシシは昔も今も多く生息している。

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    思いの強さでV字回復を実現

    いのしし鍋を紹介する前に、ここの話をしよう。
    もともと三重県の財団法人と旧白山町の第3セクターで運営を始めたものの、経営難で競売にかけられた。県外の企業が数社手を挙げたが、地元は沈黙したまま。地元企業としてこれでいいのか、地元の人たちの雇用はどうなるのか、そう考えた末に手を挙げたのが、現在の社長・岡田泰典さんの父だった。

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    「びっくりしましたよ、うちは自動車部品を製造する会社だったので」と岡田さん。

    しかし、それを聞いて、逆に「なるほど」と思った。ここの温泉はアイデアいっぱい。シニアに大人気のグラウンドゴルフ場は40ホールも用意され、雨天時も夜間も安心してプレーできるよう屋内施設やナイター設備も整っている。果実狩りが楽しめるいちご園やブルーベリー観光農園、バーベキュー場、そして、なぜかミニ動物園やめだか館まである。

    きっと、迎えたお客様を喜ばせたいといろんな施設が増えていったに違いない。こういう思いが見える施設は、客側としても応援したくなるものだ。遠のいていた客足は戻り、多くのファン(リピーター)を獲得するに至ったのだった。

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    白山名物・旨しいのしし鍋!

    さて本題のいのしし鍋に戻ろう。猪の倉温泉のある白山地区では猪肉が名産で、山間部に住む人々のタンパク源として昔からよく食べられていた。
    地元では、割りしたを入れてすき焼き風にするのが普通だそうだが、旅館では、俳人蕪村が「静々に五徳にすえにけり薬食」と詠んだという味噌鍋、いわゆる「ぼたん鍋」を提供している。

    「ここのイノシシは木の実を食べて育っているので、くさみがなく身もやわらかく甘いんですよ」と岡田さん。
    なかなか手に入りにくいため、いつも猟師からの連絡待ちだそうだ。

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    食べ方はダシが沸騰したら、猪肉を一枚ずつ鍋に入れ、肉の赤みがなくなるぐらいまで火を通す。
    「火を通すと固くなるので、しゃぶしゃぶ程度にするとちょうどいいですね。通すのであれば、かえってしっかり通しきった方がいいです」。
    イノシシの肉は淡泊で、煮込むほどに口当たりやさしく、ほぐれていく感じ。食聖と称された北大路魯山人は、幼少期にイノシシ肉を食べ「食物の美味しさをこのとき初めて自覚した」といったそうだが、それほどに滋味なのである。

    肉を食べ、野菜を食べ、味噌のだしをグッと飲み干す…夢中になって食べていると、いつの間にか額に汗をかいていた。寒い冬に食べたくなるのが「いのしし鍋」、これ納得です!

  • ゐ

    いのしし鍋

    ~写真で紡ぐたび~

    • いのしし鍋

      変化に富んだグラウンドゴルフのコース。温泉、宴会などがセットになったグラウンドゴルフの利用者ならではのプランも用意されていて人気だ。

    • いのしし鍋

      ななくりの湯「榊原温泉」もここから5kmほどの位置にある。猪の倉温泉も榊原温泉と同じく、とろりとしたまろやかな湯が楽しめ、実にいい温泉なのだ。

    • いのしし鍋

      アトピー性皮膚炎で悩んでいた岡田社長が猪の倉温泉の源泉をたっぷり配合した身体にやさしいオリジナル化粧品を開発。

    • いのしし鍋

      岡田社長は地元の子供たちに剣道を教える厳しい先生の顔も持つ。地元に深く関わり、地元へ還元していく姿が素晴らしい。

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  • ゐ

    いのしし鍋

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    いのしし鍋

    コンシェルジュ
    猪の倉温泉 岡田 泰典さん

    当館の大宴会場やレストランでは、料理雑誌にも取り上げられた総料理長がお越しいただくお客さまおひとりおひとりに「本当の旬」を味わっていただきたいとの思いから、季節の食材を吟味し、創意工夫した料理で皆さまをおもてなししております。
    いのしし鍋をメインとしたプランもございますので、是非この機会に白山名物・いのしし鍋と猪の倉温泉を心行くまでご堪能ください。

    スポット概要

    猪の倉温泉 ふよう荘

    スポット
    猪の倉温泉 ふよう荘
    住所
    津市白山町佐田2562-1
    営業時間
    15:00(チェックイン)~ 翌日10:00(チェックアウト)
    泉質
    アルカリ性の単純温泉
    効能
    リューマチ、神経痛、打撲、傷、肩こり
    公共交通機関でのアクセス
    近鉄榊原温泉口駅からマイクロバスで5分(送迎あり)
    近鉄久居駅からマイクロバスで30分(送迎あり午後1時40分発)
    車でのアクセス
    伊勢自動車道久居ICから165号西へ30分
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