Storyで紡ぐたび

もののあはれ中南勢ものがたり

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    用水の脇のあじさい美しく咲き誇り…

    淡い色をしてこんもりと咲く、可憐なあじさい。
    そのそばを勢いよく流れているのが、全長約30kmにも及ぶ農業用水「立梅(たちばい)用水」だ。

    その昔、旧勢和村は、川はあれども河床が低いために、古くから水に恵まれず、苦しい生活を強いられてきた。
    それを見かねた地士・西村彦左衛門が、私財を投げ打ち、紀州藩に働きかけること15年、ようやく悲願を達成した…というのがおよそ200年前の話。

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    地域の人たちは、そんな彦左衛門の思いを受け継ぎ、この用水を大切に利用してきたが、農業人口が減少するとともに用水と生活は完全に切り離され、ゴミの投棄に悩まされるまでになってしまった。

    「先人が一生けん命つないできた用水が、こんなことでいいのか」…そんな時に出たアイデアが、あじさいを植える活動だった。

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    “用水愛”あふれる人気のあじさいまつり

    ボランティアで植えられたあじさいはなんと1万株。6月になると、里山は美しい青、藍、紫に彩られる。そこで周知のために企画されたのが、毎年6月の第二日曜日に行われている「大師の里彦左衛門のあじさいまつり」だ。
    中でも、全身泥まみれになりながら、男たちが綱を引く「田んぼの綱引き」は、人気のイベントの一つである。

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    「ようこんなに大きくなったなと思いますわ。ほんと、みなさんのおかげやね」と言うのは、用水の多角的利用を推進する『水土里ネット立梅用水』の高橋さん。
    平成9年のスタート当初は約2,000人程度の人出だったが、回を重ねるごとに来場者が増え、19回目の今年は1万人を超えるまでになった。
    小さな町のささやかな祭りがなぜここまで人を魅了するまでになったのか…それは、溢れんばかりの「用水愛」に尽きる。

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    中学生船頭が案内するボート下り

    地元・勢和中学校の生徒たちが船頭を行うボート下りは、まつりの中でも人気のイベントだ。
    用水のへりを両腕で押しながら、乗客を乗せて素掘のトンネルまで案内してくれる。中学2年になるという少女は、「明日は絶対筋肉痛ですね」と笑いながら、乗客を何度も出迎えボートを操っていた。

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    ライトアップされたトンネルの内部は、実に幻想的。「こんなに固い岩をノミ1本で掘っていくなんて、昔の人はすごいですよね」…子どもたちのキラキラしたおもてなしに、胸がほっと温かくなる。
    見上げれば、素堀のトンネルに刻まれた幾千万のノミの跡。

    190年前の農民たちから今の子どもたちへ脈々と流れる用水への思いを感じることができた。

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    世界に認められた素晴らしき遺産

    2014年、立梅用水は、歴史的価値や文化的価値、地域一体となっての多角的な活動が認められ、世界の「かんがい地域施設遺産」、国の「登録記念物」に登録された。

    高橋さんは「我々が立梅用水をいかに大事にしているか、誇りに思っているか、その思いが認められたんやと思います。」と胸を張る。「こういった活動は、息長くやってくことでしょうね。作物を作るだけやなく、交流の場や教育の場、健康づくりの場として、いろんな面から用水とともに生きていく。今では地域の人の心のよりどころなんですよ」。

    あじさいいっぱいの里山に描かれる、子どもたちの原風景。
    この先もそうでありますようにと願うばかりだ。

  • た

    立梅用水

    ~写真で紡ぐたび~

    • 立梅用水

      美しい1万株のあじさいは、約100名のボランティアの手でひとつひとつ植えられた。

    • 立梅用水

      休耕田を活かして、メダカやタガメ、ミズカマキリが泳ぐビオトープを作った。昔ながらの田畑がよみがえる。

    • 立梅用水

      あじさいまつりでは立梅用水をメインとしたイベントが盛りだくさん。若者も盛り上げる。

    • 立梅用水

      全身泥まみれになりながら、男たちが綱を引く「田んぼの綱引き」。

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  • た

    立梅用水

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    立梅用水

    コンシェルジュ
    水土里ネット立梅用水  高橋さん

    参加団体は70以上、高校生レストランで知られる相可高校生手作りの弁当や菓子など人気店が出店しています。話題の弁当などは早めに売り切れてしまったところもあったようですので、早めのご来場がおすすめです。午後は比較的ゆったり見られますよ。
    また、会場周辺は駐車場がありませんので、お車でお越しの際は「川原製茶工場」、「奥伊勢資源化プラザ」、「松阪興産株式会社」にお停めいただき、無料のシャトルバスをご利用ください。

    スポット概要

    あじさい祭り

    スポット
    あじさい祭り
    住所
    多気郡多気町丹生
    料金など
    無料
    公共交通機関でのアクセス
    JR、近鉄松阪駅から松阪大石線にて約23分「射和」下車、町民バスに乗り継ぎ約20分丹生大師前下車
    車でのアクセス
    伊勢自動車道・勢和多気インターから車約10分
    駐車場
    あり
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