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もののあはれ中南勢ものがたり

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    農村資源を次の世代へ繋げるために

    大豆畑の緑が一面に広がる旧勢和村・丹生(にゅう)に、ひっそりとたたずむお店。
    ここが、昼時には遠方から来た客でごった返すレストランだとは、とうてい信じがたい。
    「開業当時は、こんなところにまで人が来るわけないって言われましたよ」
    と言うのは、代表取締役・北川静子さん。

    丹生の農家に生まれ育った北川さんだが、若い頃は農家を否定する気持ちもあった。
    しかし、地元のイベント、ここでも紹介した「あじさいまつり」の手伝いで地域の人たちと活動するうち、考え方に変化が生まれた。

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    「今は米や野菜、昔ながらの知恵という農村資源すべて、高齢者によってかろうじて保たれている状態。この人たちが元気なうちに次の世代へ繋げていかなきゃいけない!そのためには若い人が農業に興味を持てるよう事業として成功しなくてはと思いました」

    設立には、その考えに賛同した農産加工グループ、ボランティアグループ、農業者など35名が出資。レストラン開設時には、借入等も利用したが、地域の人たちが使っていない食器を持ち寄ったり、手作りの箸立てや座布団を提供してくれた。

    また、スタッフは20代から80代までの女性40名ほど。それぞれの好きな時間帯で働いている。働く場の創出にも、まめやは一役買っているのだ。

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    子どもにつくしを持ってこさせる理由

    「丹生は宝ものだらけですよ。でも、誰もそれに気づいていない。だから、ある時、地元の子どもたちに“つくしを持っておいで”と言ったんです。そしたら子どもは「は?」と不思議そうな顔をするんですよ。そこらへんに生えているものが、お金になる価値のあるものなんて思ってもみなかったんですね」。

    まめやでは、つくしのはかまを取った状態で1キロ1000円で買い取っている。

    「どこよりも高く買い取ってるけど、いいの、それが目的じゃないから」

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    …北川さんが子どもにつくしを持ってこさせる本当の目的、それは地元に興味を持ってほしいということ。さらに、買い取りには、はかまを取るという条件があるが、食卓でじいちゃんばあちゃんも一緒になってはかまを取る、そこで会話が生まれる、そんな時間を大切にしてほしいという思いもあるのだ。

    「そしたらね、子どもは次に、全然別の山菜も持ってきたりするんですよ、頼んでもいないのに(笑)」。

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    お年寄りの知恵は、値千金!

    さらに北川さんは「お年寄りは金の卵」と言う。こんにゃくを作るのは普通、凝固剤として水酸化カルシウムを入れるが「昔はゴマの灰木でこんにゃくを作った」というおじいさんの話から、昔ながらの製法を試してみたところ、とても美味しいものができた。

    「何もない時代、自給自足をしていた時代の知恵はこんなに素晴らしいものなんだと。これを手放していっては、もったいないと強く感じたんですよ」。

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    北川さんは子ども時代に食べていた味を思い出しては、豆腐焼き(田楽)や鮎味噌を再現し、ひとつずつメニューに加えていった。
    手作りの豆腐、こんにゃく、油揚げなど地元産の大豆で作る加工食品、地元で採れた新鮮な野菜をふんだんに使った田舎料理のバイキングには、昼だけの営業でありながら、平日100人、休日150人以上もの人がやってくる。

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    「こんな田舎まで足を運んでくださって、本当にありがたいことです。私たちここの人間にとっては当たり前のことも、価値があるんだよって教えてくれたお客さんに、精一杯のおもてなしをしたい。それは10年経った今も全く変わりません」

    …北川さんのその思い、ちゃんと受け取りましたよ。

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    農業レストラン

    ~写真で紡ぐたび~

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      大豆畑に囲まれた「まめや」。梅雨の季節には、あじさいの花が彩る田舎の風景に変わる。レストランの隣には産直市場も併設しており、新鮮野菜のほか、100円から買える小分けの惣菜が並ぶ。

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      惣菜を食べた客から「どうやって作っているんですか」と聞かれることが多いため、おからどうなつ・おからコロッケ作り・豆腐作り・味噌仕込み、野菜の収穫&農村料理など体験メニューを行うようになった。

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      あまったおからは、おからサラダなどのレシピとともに客に無料で分けている。また、「少しでも美味しい野菜にしてもらえるように」野菜の肥料として使ってもらうため農家にも分けている。

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      田楽は北川さんの子ども時代に、煙のもくもく立ち込める中、アツアツをほおばった懐かしい記憶から生まれた。竹串も炭もすべて、地元のじいちゃんのお手製なのだとか。

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    農業レストラン

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    農業レストラン

    コンシェルジュ
    せいわの里まめや 代表取締役 北川静子さん

    農村料理バイキングの献立は、その日届いた食材を見て決めます。
    すから、生姜がたくさんとれた時は、生姜のケーキを作ったり、シソがたくさんあったらシソゼリーを作ってみたりとユニークなメニューも登場します。
    また、料理教室では、料理を作るだけではなく、まめやらしさ…例えば収穫を体験してもらったり、農村ならではのことを体験できるよう考えています。ぜひ参加してみてください。

    スポット概要

    せいわの里 まめや

    スポット
    せいわの里 まめや
    住所
    多気郡多気町丹生5643番地
    お問い合わせ
    0598-49-4300
    営業時間
    10:00~17:00
    (バイキングは11:00~14:00)
    定休日
    木曜日
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