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山車が行く…大淀の夏の風物詩
アリャソーコーセ、と男たちの威勢のいい声があがると、ゆっくりと山車は動き、キリキリリ、とけたたましく車輪が軋む。祭りの熱気に調子づいてきた笛や太鼓のお囃子の音色も、この音にはかき消されるほどだ。太陽がジリジリと照り付ける中、男たちとともに山車はゆるゆると進んでいく。
提灯飾りが揺れる山車の二階には、紋付き袴に白いタナ帽という粋ないでたちの若旦那衆が乗っていて、祭囃子にあわせてソレソレと扇子を仰いでいた。盛り上げ役かと思いきや、二階から曳き手へ運行の指示をしているのだとか。
山車は狭い路地を通るため、毎年、塀を壊したり、ケーブルを切断したりというトラブルが発生する。 -
祭りのクライマックス「海上渡御」
山車が区内を練り歩いた後は、三世古地区(北区・中区・西区)の山車は大淀港の満潮時に合わせて、のぼりや提灯で彩られた「なりひら」「ゆきひら」という2隻の船に乗せられていく。これが、「海上渡御(かいじょうとぎょ)」の儀式といって、全国的にも珍しいのだとか。徳田さんによると、ここが一番盛り上がるところだという。
「青年団メンバー約20名が掛け声をかけながら、力を合わせて山車を乗せるんやけど、その時に、スターマイン(花火)が連発であがるから、さらに盛り上がるね」。
船に乗せられた山車は、大海神社でお参りをして、再び会場に戻ってくる。そして山車は提灯の明かりが灯され、夜仕様で次のお楽しみを待つばかりだ。
ヒュルルルル…パパーン。さあ、お待ちかねの花火大会が始まった。 -
コンシェルジュ
大淀祭典委員会徳田均委員長さん大淀祇園祭は、260年以上も続いている伝統行事。人手不足と言われながらも、地元の有志たちの手によって、昔のままの形を守っており、他の祭りにはない魅力になっています。
当日は10時から子ども神輿、13時には山車が巡行し、祭りがスタートします。1日中は大変、という方は、17時ごろから対岸の堤防で「海上渡御」を、そして花火大会をご覧になると祭りと花火のイイトコどりができますよ。5~10年に1度の周年行事の際には、他地域(東区や山大淀地区等)から山車が合流し、3台並べて展示することも。この「三車揃い踏み」は、なかなか壮観で見ごたえがあるので、ぜひ見てほしいですね。