Storyで紡ぐたび

もののあはれ中南勢ものがたり

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    大淀の祇園祭は疫病払いの祭り

    ここは大淀の業平松よ
    浦は大海で船がつく
    いたら見てこい大淀の浦を
    エンヤエンヤと綱を引く…

    炎天下で行われる、荒ぶる男たちの祭り…これが「大淀祇園祭」だ。
    祇園祭といえば京都が有名だが、大淀の“ぎおんさん”は、京都・八坂神社や愛知・津島神社の流れを汲み、今から262年前の江戸中期に、疫病払いや氏子安全、農・漁業の発展を祈るために始まったと言われている。

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    祭り好きの血が騒ぐ

    本家・京都の祇園祭や津島天王祭に比べれば、ごく小さな港町の祭りだが、ここには商業化した大祭には決して見ることのできない、荒削りな魅力がある。
    「私らみたいな昭和生まれの人間にとっては、盆正月より祇園さん、というぐらい好きやね」と言うのは祇園祭全体の運営を行っている祭典委員会の徳田さん。

    「普段は県外で働きに出とっても、祇園さんだけには必ず戻ってきた。小さい頃からの祭り好きの血が騒ぐんやろうね」。今までは男性ばかりで行っていたが、最近は女性も参加しているのだとか。女性だって、日頃の厄を落としたいモンね。

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    山車が行く…大淀の夏の風物詩

    アリャソーコーセ、と男たちの威勢のいい声があがると、ゆっくりと山車は動き、キリキリリ、とけたたましく車輪が軋む。祭りの熱気に調子づいてきた笛や太鼓のお囃子の音色も、この音にはかき消されるほどだ。太陽がジリジリと照り付ける中、男たちとともに山車はゆるゆると進んでいく。

    提灯飾りが揺れる山車の二階には、紋付き袴に白いタナ帽という粋ないでたちの若旦那衆が乗っていて、祭囃子にあわせてソレソレと扇子を仰いでいた。盛り上げ役かと思いきや、二階から曳き手へ運行の指示をしているのだとか。

    山車は狭い路地を通るため、毎年、塀を壊したり、ケーブルを切断したりというトラブルが発生する。

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    祭りのクライマックス「海上渡御」

    山車が区内を練り歩いた後は、三世古地区(北区・中区・西区)の山車は大淀港の満潮時に合わせて、のぼりや提灯で彩られた「なりひら」「ゆきひら」という2隻の船に乗せられていく。これが、「海上渡御(かいじょうとぎょ)」の儀式といって、全国的にも珍しいのだとか。徳田さんによると、ここが一番盛り上がるところだという。

    「青年団メンバー約20名が掛け声をかけながら、力を合わせて山車を乗せるんやけど、その時に、スターマイン(花火)が連発であがるから、さらに盛り上がるね」。
    船に乗せられた山車は、大海神社でお参りをして、再び会場に戻ってくる。そして山車は提灯の明かりが灯され、夜仕様で次のお楽しみを待つばかりだ。
    ヒュルルルル…パパーン。さあ、お待ちかねの花火大会が始まった。

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    大淀名物「綱火」の仕掛け花火

    大淀の奉納花火は、約二千発の打ち上げ花火と3基の仕掛け花火が、会場のすぐそばであげられるとあって、人気が高い花火大会のひとつ。これは、対岸の堤防で見るのがベストポイントだ。

    仕掛け花火は、永らく大淀に伝わる「綱火」に注目したい。これは、地元で決められた花火委員の手により、木枠に文字や絵の構図通りに火薬入りの筒を導火線でつないで作られるもので、ネオンのように文字や絵が浮かび上がる仕掛け。一筋の閃光から突然文字が現れるワクワク感がたまらない。この時ばかりは、歓声とともに、健闘を称えるかのような温かい拍手が沸き起こるのも素敵だ。

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    「次の世代へつなげてほしい」強まる思い

    日付が変わる前の23時。
    山車から始まった長い一日は、山車を3回回して、手締めで終わった。
    一仕事終えた充実感と心地よい疲労感に包まれて、大淀の人たちはみな笑顔で山車を見送る。

    「この先ももっと先も、ずっと続いて、次の世代につなげていってほしい…」。
    大淀の人の心意気で、ずっとずっとつながれてきた地元の神事に、あらためて心が動かされた。

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    夏祭り

    ~写真で紡ぐたび~

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      三世古地区と山大淀地区でそれぞれ山車が曳かれる。猿田彦の化身とされる天狗が最前列で道案内する。

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      三世古地区では半世紀ぶりに神輿が復活。地元の子どもが区内を練り歩く。

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      たくさんの折鶴が飾られた美しい傘鉾(かさぼこ)。7~8歳の男児がこの役に付く。

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      狭い路地の中にも山車が入っていき、塀ギリギリで通過。
      (家の住人にとっては)スリリングな祭りでもある。

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      海上渡御の儀式。
      見よ、この堂々たる雄姿!海をゆく男たちの表情も誇らしげだ。

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    夏祭り

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    夏祭り

    コンシェルジュ
    大淀祭典委員会徳田均委員長さん

    大淀祇園祭は、260年以上も続いている伝統行事。人手不足と言われながらも、地元の有志たちの手によって、昔のままの形を守っており、他の祭りにはない魅力になっています。
    当日は10時から子ども神輿、13時には山車が巡行し、祭りがスタートします。1日中は大変、という方は、17時ごろから対岸の堤防で「海上渡御」を、そして花火大会をご覧になると祭りと花火のイイトコどりができますよ。5~10年に1度の周年行事の際には、他地域(東区や山大淀地区等)から山車が合流し、3台並べて展示することも。この「三車揃い踏み」は、なかなか壮観で見ごたえがあるので、ぜひ見てほしいですね。

    スポット概要

    大淀祇園祭と花火大会

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    スポット
    大淀祇園祭と花火大会
    住所
    多気郡明和町大淀
    開催場所
    多気郡明和町大淀漁港一帯
    開催日
    2015年8月1日(土)
    開催時間
    10時~22時(花火大会は19時~22時)
    料金など
    無料
    車でのアクセス
    国道23号から交差点「大淀」を東へ5分
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      大淀ふれあいキャンプ場
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      海水浴場が隣接しており、夏は海水浴も楽しめるキャンプ場です。管理棟、水道、冷水シャワー、温水シャワー(有料)、共同休憩所、炊事場、水洗トイレ、毛布(有料)、駐車場(有料)完備しています。

      • 住所:多気郡明和町大淀
      • TEL:0596-52-0055
      • 営業時間:4月19日~10月13日(要予約)
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