Storyで紡ぐたび

もののあはれ中南勢ものがたり

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    廃校になった小学校をみんなの集う温泉施設に!
    閉ざされた思い出は、
    まちの人たちの思いによってふたたびよみがえった…!

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    廃校が温泉になってよみがえる

    幼い頃に通っていた学校が無くなる…
    廃校とは、自分の原点を失ってしまうようで本当に辛いものだ。

    少子化の影響で阿曽小学校の廃校が決まると、町民の間から「思い出の校舎を何とか残せないだろうか」との声があがった。さびれた姿ではなく、再び活気ある校舎を見たい。そして、これをきっかけにして地元を元気にしたい…そんな人々の思いを受け、旧大宮町と阿曽区の間で話し合いが行われた。

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    古い書物によると、ここ旧大宮町は、宝暦年間にはすでに温泉が発見されており、「地下2mも掘れば、どこでも炭酸泉が出てきた」状態だったという。

    そこで三重県で唯一という自噴(天然)の温泉を目玉に、平成17年に木造校舎を改築して温泉施設としてオープンすることになった。

    「ここに住む人たちにとっても、親子、孫まで何世代も通った思い入れのある場所だから、こうして変わらぬ形でオープンできて本当に喜ばれた」と話すのはオープン当初の従業員である野瀬さん。

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    さらにこの施設を後方支援するのは、「阿曽のために」と結成された女性グループ「阿曽温泉あすなろ会」の皆さんだ。

    彼女たちは「あすなろ食堂」で、食事を担当。最初は調理器具も何もなかったというが、みんなで道具を持ち寄り、資金を集めて調理場を増設しながら、心を込めたおもてなしを行ってきた。今では遠方からも、この温泉と食事を楽しみに通ってくる客が多いとか。

    オープンから10年、「地元をなんとか盛り上げていきたい」と奮闘する人たちの思いは、こうして今もつながっている。

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    懐かしの面影に心が和む…

    さて、ここの温泉である。「源泉があるからどうぞ」と促され、旅館跡の奥から線路の脇を歩いて行くと、赤茶けたタンクから、透明な炭酸泉が絶えずシュワシュワと湧き出ていた。これが源泉か。

    「飲んでごらん。昔は身体にええからってよう飲んどったよ」
    おそるおそる口に含んでみると…
    「!!!」
    とんでもなく濃い鉄分の苦味とグッとくる塩味、かすかな甘み、そしてシュワシュワ感の合わせ技。…これはいい温泉に間違いない。

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    ウキウキしながら、施設に戻り、いざ念願の浴室へ。そこには内湯がひとつあり、源泉のようにシュワシュワしていないものの、じんわりと芯まで温かくなり、やさしくまろやかな湯が楽しめた。

    温泉から出たら、湯冷ましの散策がおすすめ。黒板やオルガンが残された食堂、手洗い場のある廊下…各所に見られる在りし日の学校の面影とともに、気が付けば心の奥まで温まっているはずだ。

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    歴史の一端を体験できる
    風情のある渡し舟を地元有志が復活
    渡し舟の存続のため
    静かに熱く燃える保存会のみなさんを突撃!

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    風情ある「三瀬の渡し」が復活

    三瀬の渡しは、大台町下三瀬と大紀町三瀬川の両岸を渡す舟で、かつては熊野古道や伊勢路の通過点にもなっていた。
    最も栄えたのは江戸中期ごろ。当時の下三瀬区には、現在の3倍となる約360軒の民家や宿、茶屋などが街道に立ち並び、熊野三山やお伊勢参りの旅人たちでにぎわっていた。

    昭和初期までは、地域住民の日常の交通手段としても、盛んに利用されていたが、鉄道や道路の整備によって衰退し、昭和30年代ごろには完全に姿を消してしまっていた。

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    その存在も忘れられていた2004年、熊野古道の世界遺産登録を受け、地元の観光資源の目玉として復活させようと下三瀬地区の有志住民約30名が「三瀬の渡し保存会」を結成。
    町道の先から船着き場までの310メートルを整備したり、花壇を作ったりと観光客を迎える準備を整え、2009年にようやく渡し舟を復活させることができた。

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    熊野古道も北畠具教ゆかりの地めぐりも

    この舟が復活する前は、熊野古道三瀬坂ルートは迂回して行かなければならなかったが、渡しを利用すれば約6キロメートル短縮される。

    渡し舟に乗っていく熊野古道の旅もなかなかオツなもの。しかもこの辺り、剣豪と讃えられた名将北畠具教(きたばたけとものり)の史跡が数多く残されており、散策もまた楽しい。

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    「(渡し舟は)やっぱり風情がありますわな。当時の様子をイメージできるでしょう」と保存会会長の角谷さん。

    地元の小学生を乗せたときには、『一生忘れません。ありがとうございました』という嬉しいメッセージをもらったそうだ。

    「そういうことが励みになって、もっとよくしたいといつも思っています。保存会メンバーはみんな高齢で、この急な坂を上り下りして舟を出すのも大変なんやけど、なんとか続けていきたいと思ってね」。

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    三瀬の渡しを応援したい!

    今度は木舟にしたいと思ってるんですよ、と別れ際に角谷さんが言った。
    蛇行する宮川と緑の木々、静かな川面…今でも充分素敵だけど、木舟になったら、もっと風情が出るに違いない。

    それにしても、保存会のみなさんの、三瀬の渡しの継続と発展をいつも心にかけ、夢を持って活動している姿に感動。景色は言うまでもなく最高にイイけれど、それ以上に旅を楽しくするのは、こんな人たちとの出会いだ。
    大台町の風情豊かな渡し舟、地元の人たちの熱い思いに触れて、“一生忘れない”思い出になることだろう。あなたもぜひ乗ってみて。

  • む

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    ~写真で紡ぐたび~

    • むかし懐かし

      <阿曽温泉>
      フロントの壁には、名前の入った温泉の回数券がびっしり貼られている。名前を言えば、財布を出さなくてもフロントで回数券を切ってもらえるという仕組みだ。

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      <阿曽温泉>
      廊下には地域の人たちの絵や制作物が飾られ、温泉客をお出迎え。コミュニティとしての役割も果たしている。

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      <三瀬の渡し>
      舟に長いロープを結び付けて、両岸から引っ張って安全に行き来できるようにしている。

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      <三瀬の渡し>
      乗り場近くには、明治期からと思われる石畳の一部を見ることができる。

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  • む

    むかし懐かし

    コンシェルジュからのおすすめのポイント!

    むかし懐かし

    コンシェルジュ
    ライター 宍戸さん

    阿曽湯の里は、旧阿曽小学校の跡地にあり、天然温泉「阿曽温泉」、産地直売「四季の店旬彩」、エコミュージアムセンター「宮川流域交流館たいき」の3施設を合わせた総合施設。シーズンになれば、アユ釣り客やキャンプ客が疲れを癒しに立ち寄り、にぎわっています。また、湯の里のそばには1万株以上のあじさいが咲く「あじさいの道」があり、岩でできた「風穴」「八重谷湧水」などユニークで美しい自然の姿に出会えます。
    また、三瀬の渡しを利用するには、大台町観光協会に事前に予約を入れてください(土日祝のみ営業/4名以上)。道の駅の隣に大台町観光協会があるので、情報を集めてから移動するとスムーズですよ。

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  • む

    むかし懐かし

    スポット概要

    阿曽温泉

    阿曽温泉

    住所
    度会郡大紀町阿曽429
    営業時間
    午前10:00~午後9:00(午後8:00までの入場要)
    アクセス・駐車場
    公式サイトをご確認ください。
    料金
    年齢によって異なるためウェブサイトをご確認ください。
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    三瀬の渡し

    三瀬の渡し

    住所
    多気郡大台町粟生720番地 ラメール内
    お問い合わせ
    大台町ふるさと案内人の会
    0598-83-3777
    アクセス・駐車場
    公式サイトをご確認ください。
    料金
    サイクリング・熊野古道ウォーク:2000円、大台町合併10周年参加費20%オフチケット使用:1600円
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